諏訪湖クラブとは

諏訪湖クラブ設立趣意書

設立の背景

諏訪湖は広域下水道建設と各種対策の進捗につれてここ数年目に見えて水質改善が進んできました。また、湖畔の修復事業も進展し、多くの人たちが湖畔を利用し、湖面を利用することも多くなっています。地域のシンボルである諏訪湖が多種多様に利用されることは喜ばしいことではありますが、無制限な利用は再び荒れた諏訪湖を再現させる可能性も秘めています。そこで、2003年11月に有志団体が諏訪湖の湖面利用に関するルールが必要ではないかと考え、湖面利用に関する条例の制定の可否を検討するよう長野県を始めとする関係自治体に要望書を提出しました。しかし、湖面利用については利害相反する団体も多く、地元関係者による調整が必要との考えから、長野県諏訪地方事務所の発案を受けて、関係諸団体による連絡機関「諏訪湖懇談会」が結成され、諏訪湖浄化を中心とする各種団体の情報交流と独自の活動を展開してきました。その活動の一環として「湖面利用のあり方検討会」と「新たな運動体設立検討会」という二つのワーキング・グループが懇談会に設置され、討論を重ねてきました。その結果、「湖面利用のあり方」に関しては「諏訪湖憲章」を制定し、地元にその趣旨を浸透させていく形で第一歩を踏み出しました。「新たな運動体」に関してはその設立に向けて行動することを懇談会の方針として受け入れることを、2006年度の第二回総会で了承を受けました。

「新たな運動体」の設置に関しては、2006年2月に諏訪市で開かれた日本景観学会からも提案されています。そこで、諏訪地域に限定しない広い地域からの参加者を包含する形での団体として設置することが望ましいと考えました。また、団体の性格はソフト的なシンク・タンクとしてだけでなく、より実効的なドゥー・タンク的性格を併せ持つものであり、地域住民が参加し得る現実社会に即した市民学会的なものとしても性格づけられる必要があると判断されました。そこで、世界的な環境問題に対処してきた科学者集団、ローマ・クラブに模して、日常的な市民活動を加えた仮称諏訪湖・クラブの設立が提案されるに至りました。

諏訪湖の浄化は日本の湖沼全体の浄化のシンボル的課題でもあります。現在の諏訪湖の浄化傾向は他の湖沼の目標、希望にもなり、かつ地域づくりのシンボルとしても位置づけられる段階にあるとされています。諏訪湖クラブは諏訪地域在住者ならびに出身者のみならず、地域づくりに関心を持つ全国の人々を含めてのシンク・ドゥーの場設立を目指すものでもあります。

設立の理由

諏訪湖の汚染が顕在化してからおよそ40年、浄化計画が実行され始めてから約30年、ようやく諏訪湖自体の浄化傾向が目に見える段階に達しつつあります。しかし、諏訪地域にとっては諏訪湖の浄化は地域の健全な環境づくりのシンボル的事象ではあってもすべてではありません。本来の目的は諏訪湖を中心とする諏訪圏域の地域づくりが最終的目標であると考えるべきです。この最終目標を目指すためには新たな枠組みを早急に作り、実行する必要があります。これからは、諏訪湖浄化を目指すと共に、もっと広く、日常の生活に密着した形での諏訪圏域全体での地域づくりを地域住民が中心となって考え、実行していく心構えが必要です。そのためには地域住民が自身で考え、実行する母体となる組織、団体の存在が必要不可欠と考えます。それが諏訪湖クラブの目指すところでもあります。健全な地域づくりについて誰もが考え、誰もが実行する、地域づくりのために情報を集め、吸収、利用し、新たな情報を発信する、長期的な視野にたった、創造的なグループとしての地域住民の集まりであることこそ諏訪湖クラブが目指す道です。

基本理念

諏訪湖クラブの基本理念を一言で言えば、「エコロジーとエコノミーを合体させた新たな地域づくり、シンク・アンド・ドゥーの世界」です。本来エコロジーとエコノミーは相反する世界ではありません。長期的な視野に立てば、エコロジー的発想こそが理想的なエコノミーと認識できるはずです。短期的な経済的利益も大切ですが、将来を考えれば、長期的な経済的評価も大切です。環境を保全した持続的な経済的発展が可能な地域づくりこそが今求められている課題です。そのモデルづくりは諏訪湖を核にする諏訪圏域でこそ可能であり、日常生活に即したシンク・アンド・ドゥーの世界を実現することができると考えます。文化、技術、生活、環境の融合した地域づくりが、目指すべき諏訪湖クラブの基本理念と言えます。

以上の基本理念に基づき、「諏訪湖クラブ」を設立します。